[読書] 大麻入門 (幻冬舎新書)
(Photo by M. Martin Vicente, CC BY-SA 2.0)
ひさびさの読書記録。かなり沢山よんでたのにかなりサボってしまった。
- 大麻について肯定的な立場からではあるけど、客観的に情報がまとめてある本
- 大麻がどういうものか、人間にどういう影響があるとされてるか、どんな歴史をたどっていたか等
- 「大麻入門」とは書いてあるが、別に大麻を積極的に勧めているわけじゃなくて、これから大麻について調べる人にとっての「入門」
- この本の一番よくないところは根拠となる文献の参考が書いてないこと
真実か?いくらか簡単に調べた
この手の議論はほんとなのか根拠が怪しいし、そもそも賛成派は「反対派には根拠がない」と言ってる訳だし、このへん根拠を調べたほうがいい気がしたのでいくらか調べました。本当に簡単にですが。
そんなリソース使えないのでネット、しかもWikipediaがいくらかソースだけど、まぁないよりマシ。
言葉の注意
- ここでは「大麻」=「麻」=「ヘンプ」です。(文献によっては大麻は薬物として扱う場合や、薬物としての使用を意図して加工されたものを指す場合があります)
- ここでは「麻薬」は「ケシ」を原料とする「アヘン」や「モルヒネ」を指すとします。「大麻」は含みません。(文献によっては含む場合がありますが、そのような文献は薬物をあやふやで適当な定義付けをしている場合が多く、不適切な言葉の使用です)
以下表題は本からの引用です。
『マリファナと健康』第5リポートによると、「大麻は … 抗痙攣、腫瘍抑制(抗がん作用等)、鎮静睡眠、鎮痛、… 制吐などの作用があり
- まずは興味ある薬としての効果から調べてみた
- 『マリファナと健康』第5リポートが見つからなかったが、これのことだろうか: MARIHUANA RESEARCHFINDINGS: 1976 by 米国保健社会福祉省(DEPARTMENT OF HEALTH AND HUMAN SERVICES)
- 抗痙攣: p.204 Anticonvulsant: 前臨床 (主に動物実験) では薬物投与による痙攣に効果をあげた報告[Dwivedi and Harbison 1975]がある。人間に対しては癲癇でいくらか報告があって、癲癇で入院している子供に与えた場合に有効なケースと無効なケースがあった報告[Davis and Ramsey 1949]や、いくつかのタイプの癲癇には有効ではないかという報告 [Consroe et al., 1975b]、逆に有害ではないかという報告 [Keeler and Reifler 1967]もある。
- 鎮痛: p.208 Analgesia: 人間に大しては、著しい効果をあげた [Milstein et al. 1975]、電気刺激による痛みで実験したら逆に痛みが増大 [Hill et al. 1974] (確かに電気刺激みたいなの敏感になりそうではある…)。 癌の疼痛に対しては著しい効果をあげたとの報告 [Noyes et al. 1975]。
- 制吐: p.211 Antinauseant, Antiemetic and Appetite Enhancer: プラセボ群より著しい効果をあげた, 普通の制吐剤と比較中 [Sallan et al. 1975]
- 興味あったのは上ぐらいだからこらしか読んでないけど、まぁ報告が存在する、という意味では正しそう。ただまぁ研究段階なので断定はまだできないんでしょう。
- マリファナって「Marihuana」って綴ることもあるのね
「ラガーディア報告」と呼ばれるその内容は … 凶悪犯罪の原因にはならない
- ここから記述順
- ラ・ガーディア委員会 (LaGuardia Comitteee) というものが存在して、それによって作られた「ラ・ガーディア報告 – 社会学的研究 (The LaGuardia Report – Sociological Study)」なるものがあった
- 「The LaGuardia Report – Sociological Study」のConclusionには確かに
- 「大麻は、重大犯罪を起こす決定的な要因ではない (Marihuana is not the determining factor in the commission of major crimes)」
- 「大麻の使用はモルヒネやヘロイン、コカインの依存へ仕向けるような事は無い (The use of marihuana does not lead to morphine or heroin or cocaine addiction)」
アメリカの大麻禁止の主張には、もう一つの重要な意図 … アメリカはそれらの原料に囚われない新たな繊維を開発し、独占しようとしていた。新しい繊維とは、石油を原料とするナイロンなどの化学繊維である。
- 流れとしては: アメリカで石油繊維を広めたい→優れた繊維がとれる大麻を禁止にしよう→マリファナはコカインとかと同じで危ないよ!ってことにした→(太平洋戦争 日本敗戦)→GHQからアメリカと同じ薬物規制を押し付けられる(意図は不明)
- この手の議論はいくらかされている場所はあるようではあります。
- まぁでもこの手の裏話的なものは調べてもわかりませんね。。。
「そもそも日本には … 大麻を取り締まることに何の罰則も無かった」「(大麻取締法ができる以前でも) 大麻から麻薬をつくつてこれを悪用する … そういうこようなことが全然なかった」
先方よりメモランダムが出まして、これによつて大麻取締法を制定しまして取締ることになつたのであります。そうして今までわが国におきましては、大麻から麻薬をつくつてこれを悪用する、あるいはこれを使用する、そういうようなことが全然なかつたわけでありまして、現在もまたありませんのでございます
- まぁタバコ代わりに使ってた人はいたらしいんですが、すくなくとも当時国会でこういう旨の議論はされたようです。
- 源泉はGHQからの規制なんですね。当時の日本政府の立法の人たちとGHQとのやりとりとか、日本政府側の「何言ってんだこいつらは」的なこととかのストーリーが本には書いてあります。そのへんのスタンスが少し知らなくて興味深い。
「房総半島」の「房総」とは「大麻の房」という意味
- ほんとかよ、とGoogleで調べたが「hemp style: ヘンプと神道」しか直接的に言及しているの見つからず
- 文言すげー似てるけど、もしかして作者一緒か?
- Wikipediaで調べたが、“「房総」という地名は、令制国の安房国と上総国と下総国の三国にまたがることに由来”だと
- なんだよ飛ばしじゃねーかよ、と一応「上総国」をみてみると、”『古語拾遺』によると、よき麻の生きたる土地というところより称したとされる捄国(ふさのくに)から分立” とある。少なくとも古文書にそうある事は本当でした。疑ってごめんなさい。
- ということでとりあえず「古語拾遺」にはそうあるそうです。
1979年京都 アンドリュー・ワイル博士の証言
- 京都地方裁判所での公判記録にあるようだが、見つからず。
- アンドリュー・ワイルさんのサイト: DrWeil.com – Official Website of Andrew Weil, M.D. (日本では「アンドルー」という表記が一般的なよう)
- この人がマリファナについて言及したことはあるようです
北海道では、年間140万本から、多い年には600万本もの野性の大麻が駆除されている
- まぁこれは有名な話ですよね
- ググればニュースたくさん出てきます: 野生大麻の駆除 多難 – 朝日新聞デジタル
- “2カ月半で13~15人を雇用(事業費は約1千万円)”
- すげー無駄な金、たくさんの無駄な人員が使われている
- 無駄っていうか、プラスをマイナスにする仕事ですよね。やってて楽しいんですかね。
七味唐辛子の中身は、…「麻の実」「芥子 (けし) の実」…
- 七味唐辛子はいくつかのスパイスの組み合わせで、なんかものによって内容物は違うようです。
- メジャーな七味: S&B エスビー食品の「七味とうがらし」を見ると、”赤唐辛子、黒ごま、ちんぴ、山椒、麻の実、けしの実、青のり”とあります。
- 麻の実 (大麻) があるのはいいとして、けしの実まであるのかよ。(「けし」はアヘンやモルヒネの原料)
医療大麻の必要性を強く訴えながらなくなった、作家・中島らもさんの事件は印象的
- そもそも誰か知らなかったが、Wikipediaの中島らもの項目をみると結構すごい最期だったようで・・・
その他目を引いたヒト・モノ・コト
- “大麻産業を北朝鮮の新たな国策として推進していくことを予定している”
- なるほど、北朝鮮そういえば合法なんですよね。。。
- 大麻堂
- 日本でもこういう店あるんだ
ちなみに・・・
- 大麻はすべての用途で合法化すべき
- 少なくとも「医療目的の大麻」「研究目的の大麻」は (議論するまでもなく) 直ちに必要とする人が容易にアクセスできるようにすべき
- 「嗜好目的としての大麻」も、成人に対しては規制する理由が弱すぎる
- 「ダメ。ゼッタイ。」だとか大馬鹿なスローガンは直ちに止めて、アルコール、ニコチン、カフェイン、砂糖など現状合法な「依存性薬物」も含め科学的な知見に基づく規制をすべき
- そもそも薬物依存は「犯罪」ではなく「病気」
- 薬物乱用で人生がボロボロになるのは、「薬物自体のせい」ではなく「重大犯罪としている法律」と「『ダメ。ゼッタイ。』とかを鵜呑みにしているバカの先入観による偏見」のせい
と思います。